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華の日曜日

毎日19時更新。20代のサラリーマンの投資ブログです。読書と美味しいご飯と株式投資を楽しみに生きています。

【短編】さかさまの世界-承-

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季節は春から夏を迎えた。
 
少年は、いつものようにさかさまの世界にいる。
 
平日も休日もずっとだ。
 
今までと違うのは、平日には先生がいること。
 
「みやもと先生は僕の仲間だ。」
 
先生の名前はみやもとと言うらしい。
 
少年は、この日も学校にきていた。
 
今日は日曜日。
 
学校の校庭では野球クラブの子供達が野球をしている。
 
いつものように、少年は鉄棒にぶら下がった。
 
「どうして、地面は青いんだろう。」
 
さかさまの世界では、地面が青い。
 
空が地面、地面が空だから。
 
少年は腕を組んで考えるふりをしてみた。
 
あくまで、ふりだ。
 
考えるふりをしていると、大人がほめてくれるのを知っていた。
 
「おーい。」
 
音の波が少年の耳にひびく。
 
目をあけた少年は、目の前に野球ボールがあるのに気づいた。
 
少年は、さかさまの世界から戻り、ボールを手にする。
 
「それこっちに投げてくれよ。」
 
声をかけた少年が遠くで叫ぶ。
 
小さなおにぎりみたいな野球ボールを少年は思いっきり投げた。
 
野球ボールは、声をかけた少年の手前でバウンドした。
 
「ありがとなー。」
 
少年は届かなかったことを悔やんだが、すぐ忘れた。
 
嫌なことを覚えられない性格なのだ。
 
そして、またさかさまの世界へ戻ろうと鉄棒に両手をかける。
 
汗でにじんた両手に、夏の風が強くぶつかっていた。
 

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